6月30日(水)
 午前中は雨に雷だったのに、午後からは嘘のように晴天。イラスト集の資料本に載せる制作メモ書き。イラスト集に関しては、これが終われば俺の作業は全て終了。
 夜、ひと段落して岩谷テンホーちゃんと闇太郎。の後ダーツ。ダーツ面白い。

もう完全に夏空。

6月29日(火)
 千駄ヶ谷の河出書房新社にて「正直日記」単行本打ち合わせ。装丁を担当してくれるデザイナーのセキネシンイチ氏と初顔合わせ。
 ここ2、3年、漫画の単行本で「おっ、この装丁いいな」と思う本の奥付けには必ず「セキネシンイチ」の名があった。だからずっと気になっていて、次に本を作る時には絶対この人に頼もうと思っていたのだ。
 今回、俺のラブコールに応えてくれたセキネシンイチさんは、その簡潔でクールなデザインからは想像もつかぬ 、一見、花火職人か魚河岸にでもいた方が似合いそうなイナセなあんちゃん風。いい意味で予想を裏切られた。でも話すとやはり、あのデザインをする人だとわかる。なんだかね、男っぽいの。気風(キップ)のいいデザインなんだ。
 まだ判形もページ数すら決まっていないゼロからのスタートなので、先は長そう。8月発売はさっそくナイです。9月にはなんとか出したいけどねぇ……。ああ、あと、 イラスト集も遅れます。これも9月!たぶん!

6月28日(月)
 下北の小さな出版社、フリースタイルからこのほど出た「喜劇新思想大系・完全版」が届いた。いわずと知れた天才山上たつひこ、「がきデカ」前夜の歴史的大傑作。この1作によって日本のギャグ漫画の新しい扉は開かれたと断言していい。この1作がなければ、これ以降の全てのギャグ漫画家(もちろん俺含む)は存在していない。間違いナイ。
 しかしこの本、めちゃくちゃ凄いよ。なにせ2色ページもネームも全て掲載時のまま忠実に再現。特にネームは、あまりの過激さゆえ、これまでの単行本では出版社の自主規制により改ざんされたり省かれたりしていたものも全て、完全にオリジナルに戻してあるという。
 これだけでもこの本の復刻が、どれほどの気概を持って成されたものかがわかろうというもの。本を読む喜び、所有する喜びを心憎いばかりに満たしてくれる祖父江慎の造本もまたイイ。
 こういう本を手にすると、ネット配信だとか電子ブックなんてのがホント馬鹿馬鹿しく思えてくるね。やっぱりさ、本を持って、ページをめくって読む至福っていうものは、替え難くあるんだよ。
 実はまだ本自体を眺めたり感触を楽しんだりの段階で、中身はこれからなんだけど、パラパラと見ただけでも印刷がものすごくクリアでビックリだ。とても30年前の原稿からおこしたとは思えない。
 そしてパラパラっと見ただけでも、俺が過去の作品でマネしたシーン、パクッたギャグの数々がそこココに!!うぎゃぁ〜〜〜!!恥ずかしい〜〜〜っ!!
 とまぁ、俺の恥はいいんだが、とにかくこの本、35歳以上の大人は全員買うべきだ。そして若者に子供に伝えていくべき。
 笑うと朝青龍のような目になるフリースタイルの青年社長・吉田保は偉業を成した。この本はギャグ漫画の聖典だ。やったね、吉田君。

これは上巻で、下巻も追って出る。上巻だけでも厚さ5cmのボリュームだぁ。

6月27日(日)
 あっ!なんだコレは!買出しの帰り道、CD屋の棚を何気に見てたら、いきなりブライアン・ウィルソンのニューアルバムが!さりげなく出てるなよ!こんなの聞いてないぞ全然。いや〜、新譜情報にも疎くなったものよ。もちろんまだ輸入盤。
 そう言えば輸入盤が販売禁止になるかもしれないっていう、著作権法改正案とかいう法案は通っちゃったんだっけ。個人的には、昔に比べると輸入盤を買う頻度はめっきり減ったけど、やっぱりなぁ、なくなるのは困るなぁ。1日でも早く聴きたいモノとかあるしなぁ。なんにせよ、個人の選択肢の幅がなくなるのは困るなぁ。

前作と比べると、ドリーミーポップスというよりいくぶんロケンロールよりかな。

6月25日(金)
 観てきた。例の「いかレスラー」の試写 。予想どおり、いつもと変わらぬ河崎ワールドだった。この変わらなさがスゴイ。大きい資本でいつもどおりのモノを作ったのがエライ。俺なんかにはもうずいぶん見慣れた河崎テイストだが、まったく初めて 観る若者とかにはとてつもなくヘンテコリンで新鮮なものに映るんじゃないかな。あんがい女子高生とかにも受けたりして。「イカかわいー」なんつって。
 それにしても受付で河崎監督に紹介された、この映画のプロデューサー叶井俊太郎氏のイケメンぶりには驚いた。

6月24日(木)
 いやしかし暑い。暑いのに熱い珈琲を淹れてみたりしたのは気分転換。今まで壁に向かってくっつけていた仕事机を、最近部屋の中央に向かう位置に変えてみたのも気分転換。この程度の事で転換した気分なぞ、またすぐ元に戻るのだけど。


6月22日(火)
 E.T.Tのアニメージュ連載「オモテに出ろ!」、9回めの今回はタヒチンこと大地丙太郎の意向によりすべて写真で構成。タヒチンのプライベートスタジオ「TAHITI STUDIO」にてその素材の撮影。30分ほどで全て終了。早!
 終わった後、新宿に移動。公開終了間際の「ドーン・オブ・ザ・デッド」をやっと観る。
 ゾンビ速過ぎ。走り過ぎ。こんなのに追われたら確かにたまったもんじゃなかろうが、のそのそ歩いていたオリジナルのゾンビより、走るゾンビの方がまぬけに見えるのな。しかも、走り去る車でさえ追いかけてくる執念深さ&わずかな物音にさえ反応するビビットさを持ちながら、犬には全く反応しないの?ええ〜〜!?そんなの初耳〜〜。
 これはもう、ゾンビ映画でもないし、ホラー映画でさえない。怖くもないし、痛くもない、誰が死のうがどうでもいい。スカっとさわやかなスポーツ映画だ。

映画館前にトロイの木馬が。

6月21日(月)
 台風ですか。そうですか。風強いですか。そうですか。って全て人事。どうせたいしたこたないんだもん。仕事から逃げてビデオばっか観てまーす。「ダムド・ファイル」という、名古屋TV制作のホラードラマを昨夜まとめて5巻も借りちゃったからでーす。なかなかいいでーす。でもまとめて借りると観るのにちょっぴり義務感が芽生えてあまりよくないですね。夜はいつもの居酒屋でE.T.Tの会合(=飲み)

6月20日(日)
 よく眠れなかったので朝5時にもう起き出し、突発的に庭の草むしりを始める。草ボウボウだったんだ俺んち。朝まだきの蚊に喰われまくりながら2時間半、家じゅうの草をむしる。MDウォークマンを聴きながら、時たまあわせて唄いながらノリノリで草むしってる姿に、新聞配達の人はギョっとしたかもしれん。
 風呂入って寝て起きたらスカっと晴れた青空だった。赤塚不二夫が描くような雲がいくつもポッカリ浮かんでいた。


6月18日(金)
 心を入れ替えてマジメに仕事。夜、今度連載を始める予定のK談社のI誌が詰めにくる予定だったのだが、「ぴあ」がまだ終わっていなかった。夜10時より「ぴあ」とI誌の編集二人に詰められながら仕事。どちらの担当も20代半ばの若い女性なのに、待ち部屋から全く話し声がしない。2時間くらいたった頃コワゴワとのぞいてみたら、お互い黙って本とか読んでる。
 「ねぇ、君ら自己紹介した?」と聞いたら「いえ、まだ」だって。しろよ!名刺交換くらいよ!仕方ないから俺が他己紹介してやって「まぁまぁコレでも飲んで」とアイスコーヒー出してやってんの。作家の方に気をつかわせるんじゃないっ!

6月17日(木)
 最低な1日。最低過ぎて誰にも言えない。言いたくもない。

6月16日(水)
 なんだかいろいろモロモロ遅れ気味。思うように片付かない。部屋もなんだか片付かない。いろんな仕事も感情も、中途半端にとっちらかったまま。

6月14日(月)
 盟友・大地丙太郎の新作オリジナルアニメ「まかせてイルカ!」のDVDが届いた。可愛くておかしくて、あっはっはと観ているうちに作者の思想やメッセージがいつの間にか心に届いている、そんなフィルムだ。俺はアニメはほとんど観ないし興味もあんまりないが、大地丙太郎は常に「アニメでしかやれない事をやっているアニメ」を創っていると思う。そんな作品は、俺も観る。アニメ観ず嫌いの人もゼヒ。
 ちなみにこの作品、俺も田村信と共に声優でちょこっと参加してます。俺の役は外国人労働者の「ゴメス」。田村さんの役「バッター君」(抜群にウマイ)もそうだが、こうして通して観ると、自分の声がワリと普通にはまってて笑う。「ゴメス」て。

ゴメス。

6月11日(金)
 年間たくさんの試写状が送られてくるが、近頃の試写状って凝ってるのが多いのな。薬の箱を模した「REM」のみたいのはザラ。あんまりいろんなアイデアのものが多いんで、近頃捨てずに取っとこうかな、とも思ったり。
 中でも最近笑ったのが、「いかレスラー」。いかの形に切ったカードをご丁寧にパウチッコして生イカの光沢を表現。試写状からしてくだらねー(笑)。しかし金かけてるよー。くだらない事に金かけられるのはギャグ作家にとって最高の贅沢だ。
 監督の河崎実とはもう20年近くのつきあいだが、ホントにくだらなくも最高な作品をビデオやTV番組などで変わらず作り続けてきた人。この「いかレスラー」が映画では確か初メジャー作品のはずだ(間違ってたらゴメン)。より多くの人の目に触れる舞台を与えられ、河崎カントクのカルトな超B級センスがどのように花咲いているのか!?ぜひこの眼で確かめに行こうと思ってます。
 それにしても「いかレスラー」て。プロデューサーが「えびボクサー」の人て。監修が実相寺昭雄て。これまたカルト!濃!楽しみだな。

6月9日(水)
 どうでもいいが、ハーバルエッセンスというシャンプーのCMは何なんだ。
 あの、外人の女が飛行機のトイレで髪を洗って、あまりの良さに「オウ!」「アアオ!」「オウイエ!」「イエッス!」「イエーッス!!」と気が狂ったように叫ぶアレだ。見る度に脱力するわ。「イエッス!」じゃねぇーつの。あんな風に、自分の現状況を全肯定してみたらどうだろうか。「今の俺イエッス!!イエッース!!」服、試着して「俺、似合うイエッス!!イエッース!!」どうだろうか。少しは幸せになれるんだろうか。

6月8日(火)
 イラスト集の文章関係がそろそろヤバイ。今日からこれに入る。しかし日記の直しが終わって、多少ウカウカしてる感はイナめない。すぐウカウカするんだよな俺。
 というワケではないが、映画「デイ・アフター・トゥモロー」をちょろっと観にいった。「ドーン・オブ・ザ・デッド」を観たかったんだが、吉祥寺ではやってなかった。
 災害映像は確かにスゴイわ。例によってカッコいい大統領が出るんだけど、最後、副大統領が大統領になっていた。えっ?大統領死んだの?いつ?
 どうやら一瞬、寝てたようだ。でもまぁそんな事さえどうでもいい、能天気な終末映画。アメリカ人ホントに好きな。こういう映画。(俺も好き)

6月7日(月)
 単行本「正直日記」の直し、すべて終わった〜。Webには載せなかった日の事も大幅に追加したよ。HPで読んでた人が買っても絶対損はしないと思う。読んでないのいっぱいあるもん。ウヒヒ。期待してていいよ。
 終わって、この本の担当編集・穴沢女史に原稿のコピーCD−R渡しがてら「闇太郎」で一杯。穴沢さんも近所に住んでるのでお互いに楽楽。ほどなく田村信も呼んで4時頃まで飲んでしまいました。まぁ、仕事あがったんだから、いいだろ今日は。

6月4日(金)
 今日も充分過ぎる睡眠をとって昼から「リアルワインガイド」のイラストのペン入れと色付け。夕方アップ。夜は「キャラ者」。最近ボロボロ落としていてマズイので頑張ってあげた。ここらで基本に戻らにゃ。

今回描いたワイン。
ラベルが超カワイイ。

6月3日(木)
 最近は夜になるとちゃんと眠い。しかも猛烈に眠い。徹夜仕事がほとんど出来なくなってしまった。 飲んでる時はまだまだ朝まで平気なんだけどね。なんて、自慢にゃならんわ。
 夕方、「リアルワインガイド」の表紙イラストをようやっと下描きまで終わらせて、「キューティ・ハニー」をサラッと観に行く。むむむぅ。はにーふらーっしゅぅ〜……。

6月2日(水)
 カバーイラストを担当した竹内結子さんのエッセイ集の見本が届く。江口個人的にはデザイン上どこかに英文字を入れてポップな可愛い感じにして欲しいなー、とか思ってたんだが。あがってきたものは、潔い程シンプルなデザイン。うーん。でも、これはこれでいいのかな。ちなみにキャラ者の絵を使ったのは竹内さん本人のリクエストによる。

6月1日(火)
 「正直日記」の直しをずっとやっている。もう2週間近く?
 佐世保の小6女児殺人事件になんともいえない、やりきれぬ気分。ウチにも歳の近い娘がいるのでいっそう。被害者も加害者もどちらも不幸だ。

5月31日(月)
 夕方、「DEAR BOYS」「G-taste」の漫画家八神ひろきと対談。本当に俺の漫画が大好きで多大な影響を受けたらしいが、それはやはり双方に共通する資質が元々あるって事。 話してても瞬時に通じるものがあり、俺の方も楽しかった。この対談は「DEAR BOYS INDEX」というデータブックに収録される模様。