11月29日(月)
 自転車のハンドルを持つ手が冷たくなった。これが本来の11月末の寒さだよな。
 昼食の後、井の頭公園をゆっくり回って帰った。晩秋の日差しに紅葉が映え気持ちいい。この季節から冬にかけての公園はいい。考えてみればこんなに近くにあるのに、めったに足を運ばないのはもったいないよなぁ。
 フリースタイルから来月出る「このマンガを読め!2005」という本に頼まれていたコラム、ようやく書く。あとは下描き。ノロノロ亀のごとく。


11月28日(日)
 ゆうべ久々にマトモな時間に寝て、マトモな睡眠時間をとったおかげで朝から元気。しかも実に秋日和のよい天気。少し余裕が出来て気分が良かったので、昼は井の頭公園近くの「上杉」という渋い蕎麦屋で一人蕎麦すすって大人のふり。
 ……でも蕎麦だけじゃ足りなかった。すぐ腹減ってきて「ケンタッキー食えばよかった」などと思うところがあさましい子供腹。蕎麦とケンタッキー、全然違うじゃん!粋じゃないのな、こんな所が。
 それはそうと、本日よりようやくイブニングの下描きに入る。「寿丼」という8ページの、粋な舌じゃない奴が描く食い物エッセイマンガです。月いちでやります。それにしても、7月末にネーム出来て早4ヶ月たってるよもう。いいかげんにしろ俺。

11月24日(水)
 朝、銀杏BOYZの作業、全てアップ。この1週間、ほぼ毎日のように足を運んだ江口君、お疲れさんでした。少し寝て昼1時、「ぴあ」の八木嬢来て、キャラ者301話。夜は「リアルワインガイド」8号の表紙イラスト。

11月22日(月)
 イブニング鈴木、再度詰めに来る。今日はもう一人の担当・舞草氏も来る。二人がかりで詰めに来る。下描きゼロ状態で「さあやりましょう!」と言われても〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜無理(キッパリ)。描けず。帰ってもらう。

11月19日(金)
 2ヶ月程引っ張っていた仕事、ひとつ落とす。関係各位、すいませんでした。

11月18日(木)
 I誌のS嬢……って、もういいか、「イブニング」の鈴木嬢詰めに来る。が、頭も気分もまだソレに入れる態勢になっていない。描けず。帰ってもらう。

11月17日(水)
 昼1時、「ぴあ」の八木亜希子さん(いちいちフルネームで書くな)来て、キャラ者300話。300話!されど300ページ!単行本3巻もそろそろだ。昼飯食いはぐれたまま夕方アップ。ハラペコで家に帰る。最近夕食の後、必ず2〜3時間寝るくせがついた。夜中、また仕事場。

11月16日(火)
 夜、銀杏BOYZ峯田君とマネージャー江口君が様子見に来る。なかなか進みが遅いんだコレが。
 「や、もうゆっくりやって下さい!発売日なんか延ばしますから!」と峯田君。
 「やややややや!!かんべんして下さい!」とあわてて首を振る江口君。
 銀杏の作業中はテンションをあげるため、録音した端から届けられるこのアルバムの音源(まだ録音中)をずっと聴いているのだが、これが素晴らしくイイ。
 全30曲録る(予定の)曲は2枚のアルバムに分けられ、1月15日に同時発売される模様。俺がイラストを担当するのはそのうちの1枚。俺のせいで発売日を延ばすわけにはいかない事は、もちろん重々わかっているとも。

11月15日(月)
 夕方、広尾のスタジオ。先日撮影され、監督の李泰栄氏によって編集された上戸彩のフィルムから、俺が絵にするカットを選ぶ作業。及びアニメスタッフとその打ち合わせ。当初の予定より増えて、15カットほど描く事に。ほえほえ。けっこう大変だ。しかもこれだけじゃなく他の仕事も複数、後に控えている。うかうかしてたらとてもこなしきれる量じゃない。ほえほえ。

11月13日(土)
 無理やり休みにする。最近は無理やりしてしまわないと土日も休みがとれない。1日とにかく寝ては起き、起きては寝。文字通りの休日。
 夕方、西荻のスパ・ユトリアムに行く。2、3日前から背中と肩が痛かったのでマッサージを受けた。パンパンに張ってたようだ。少し楽になった。

11月12日(金)

 写真は上戸彩と俺である。なんでこういう事になってるのかというと、今度、「江口寿史の描いたイラストの上戸彩」で某中古車情報誌のTVCMと表紙をやる事になったのだ。
 正確にいうと、実写で撮った上戸彩を俺がイラストに起こしたものがアニメーションになり、途中からまた実写に戻る、というもの。
 で、今日はその撮影日であったのだ。
 あいにくの天候の中、朝9:30着で横浜青葉区・長津田へ。なぜかタヒチン大地丙太郎が同行。俺以上に正真正銘の上戸彩ファンである監督に今日の事を報告するや、「えええ〜〜〜〜っ!!いいないいな〜〜!!俺も連れてって〜〜〜〜!!」
 世界に名だたるアニメ監督とも思えない、このミーハーさが素敵だ。しかもレギュラーのTV番組の仕事日であるというのに、仕事をうっちゃってホントに来るその無邪気さが素敵だ。俺はこの男のこういう所が好きだ。
 某コンビニを借り切っての撮影は思いのほか長引き、昼12時をまわる頃「さすがに俺もう、仕事に行かなきゃあ〜」と、大地丙太郎が名残惜しそうに帰った後も続いた。


 3時半、ようやく第1弾終了。直ちに用賀に移動して、今度は表紙用のスタジオ撮影。来年1年間を通しての四季にあわせた衣装で何パターンも撮るので、これもけっこうな時間がかかった。
 長い1日で思った事は「いやあ〜上戸彩ちゃん、プロだったなぁ」ということと、「広告代理店の人って、ほんっとにこう、ゾロゾロ大勢で現場に来るなぁ〜〜」ということである。

11月11日(木)
 新担当での初「キャラ者」。新担当は八木亜希子という、某女子アナと字まで同じの同姓同名。ちなみに I 誌の担当Sも、S木亜希子といって、1字違い。だからどーしたというわけでもないのだが。
 写真は最近の仕事中の愛聴盤2枚。


ベベチオ「ひとつやふたつ」
聴けば聴くほどに沁みてくるメロディーと、キリンジを彷彿とさせる歌詞の変さ。
リップスライム「マスターピース」
前作はちょっとノレなかったけど、これは傑作。黄昏サラウンド、いい。

11月9日(火)
 昼過ぎ、「MONOマガジン」の連載イラストあがる。自分的にいいのが出来た。3回めにしてようやく方向がつかめた感じ。
 気をよくしてまた中野まで。「青葉」のラーメン食いに行く。ああ、最近すっかりあの、鋭い眼にマスクのご主人は店に出てないのかな。旨かったけど、心なしか店が狭かった頃の感動的な味のキレが鈍ったような……。単に、日によるブレだったらいいけど。

11月8日(月)
 今後はやりたくない仕事の依頼は断固断ろう!と。
 あまり気がすすまなかったり、ピンとこない仕事の依頼を、まっいいかで引き受けて、後になって苦労する事がここんとこあまりに多すぎる。
 プロになって27年も経って、何とぼけた事言ってんだとお思いでしょうが、俺が仕事の依頼を、適当にいいですよーって、引き受けてたのは昔から変わらなかったんだと思う。若い頃は、どんな仕事でも勉強だと思ってたし、やりたくない事、自分の守備範囲にはない事でも、引き受けたら、それなりにやれてたんだよね。
 で、それで自分の中の引き出しが増える結果になる事もあったんだよ。
 でも、もうそれは出来なくなりました。
 そういう、無謀で、なんでもかんでもなぎ倒して、自分の中に取り込んでいくようなパワーはなくなりました。ようやくそれに気づきました。
 これからはもう、自分のやるべき事だけをやっていく、ぞと、これは切実な決意。

11月7日(日)
 無理やり休日にして、家族で多摩動物公園に行く。立川から多摩モノレールで6コめ。このモノレールは初めて乗ったが、ずいぶん便利になったなぁ。
 さすがに多摩の方は紅葉が進んでいた。コアラの名前が「タムタム」で笑った。

11月5日(金)
 ううう。つらかった仕事が終わった。最後の最後まで楽しくやれなかった。しかもノルマを半分しか果たせなかった。月曜から5日かけてコレか。他の仕事まったくしてないのに……。徒労感だけが残った。

11月4日(木)
 なかなか入り込めない仕事に煮詰まる。タヒチンこと大地丙太郎の2日の日記で中野のラーメン屋「平凡」の写真を見たら矢も立てもたまらず仕事場を抜け、電車に乗っていた。
 1年ぶりの「平凡」。この店は小さくてボロだが、澄んだ白湯スープのキリっと品のいいラーメンを出す。しかし今日のは麺茹で過ぎで味薄く、70点。不満。「せっかく中野まで来たのに」という気持ちがもの足りなさを増幅させるのか、「平凡」を出たその足はフラフラと、その先の「青葉」に向かっていた。
 ラーメンをハシゴする気か、この男っ!?
 でも「青葉」、定休日でした。そこで目が覚め、我に帰った。ふうう。危ない危ない。
 コーヒーを飲んで気持ちを落ち着かせた後、中野ブロードウェイをブラつく。いつ来てもここは濃い。
 ブラブラと見て回っているうちに、大便をしたくなった。したいなーと思いつつ中古ジーパン屋とか見てたら、次第に矢も楯もたまらずしたくなってきた。
 便意は波のように寄せては引き、やがて大波となり押し寄せるのだ。
 で、トイレを探して早足で歩いてたら、後ろからむっさいあんちゃんが、

 「あ、あの、江口せんせいですよね?」
 「あ、ああ、そうですけど……」(うんこしたい……)
 「あ、あの、サインいいですか?」
 「あ、ああ、いいすけど……」(うんこ……)
 「ちょ、ちょっと待ってくださいね……」といって、
 あんちゃんゴソゴソでかいバックを床に置いて書くもの探してる。
 ポスカみたいの何本かとってカチャカチャ振ってためし書いてる。
 どれも書けない。
 (ああうう、う、うんこ。急いでるんだけど俺……)
 また別のマジックとる。また書けない。もたもたもたもた。
 「す、すいません。ちょっと待ってください……あれこれも書けない……」

 (書けるの用意しとけよ!!もううんこおぉ〜〜!!)

 やっとものすごい極太のピンク色のポスカ出して、
 「じゃ、これでお願いします」
 と、なんかしらんが、自分に来た封筒みたいなどーでもいい紙を渡された。
 しかもものすごくグチャグチャに自分のメモとかも書いてある。
 どーでもいい紙にサインを乞われるのはあまりいい気がしないものだ。
 (例 : 割り箸の袋。濡れたコースターの裏。他人の本。ティッシュetc )

 「……」(一瞬ムッとするが、うんこ、もうのっぴきならない状況)
 さささっと描く。極太すぎて何描いてあるんだかわからない。
 「2004.11.5と、ハイこれでいいかな」
 「あ、今日4日……です、けど……まぁいいです」

 やかましわ!!!いいかげんにしろ!!
 まぁいいですじゃないわっ!!

 もう逃げるように去ってきました。(うんこしたくて)
 しかし、さすがオタクの聖地、中野ブロードウェイ。あなどれないわ。気ぃ抜けないわ。誰に見られとるかわからんわ。
 しかし、大便して出てきた瞬間にトイレその場で「江口さんですよね?」と言われなくてまだ良かったわ。
 戻るとつらい仕事がまだ待っていた。

11月3日(水)
 つらい仕事続く。しかも中断。ボツ日もいいとこ。

11月2日(火)
 つらい仕事。

11月1日(月)
 気づいたらHPのカウントが200万越えていた。ありがたいことです。